前回の施術からちょうど2週間。
大学のテストが終わり、少し肩の荷が下りたタイミングだった。
しかし、パソコンでレポートを書き続けたせいで、肩と首がガチガチ。
「またお願いしてみようかな」と思い立ち、スマホのLINE履歴を開く。
前回のセラピストさんに「またお願いできますか?」と送ると、すぐに返信がきた。
「もちろんです。お身体の状態を見ながら、今回はカイロプラクティックも少し取り入れてみましょうか?」
“カイロプラクティック”という言葉を聞いて、少しドキッとした。
骨をバキッと鳴らすようなイメージがあったからだ。
でも、前回の施術で信頼があったからこそ、「お願いします」とすぐに返信できた。
再訪の日 ― 体と心が整う“安心のリズム”
約束の日。午後の授業を終えて帰宅すると、静かな夕暮れ。
ドアのチャイムが鳴り、前回と同じやわらかな声が聞こえた。
「こんにちは、今日もよろしくお願いします」
前回よりも自然に笑顔で迎えられた自分に気づき、少し嬉しくなった。
施術前のカウンセリングでは、肩と腰の状態をチェック。
「前回よりも全体的に緩んでますね。でも、首と背中の間に少し歪みがあります」
セラピストが鏡を見ながら、姿勢の写真を見せてくれた。
スマホを見る姿勢のせいで、頭が少し前に出ている“スマホ首”。
さらに、右肩がわずかに下がっているとのこと。
「なるほど…たしかに最近、肩が下がってる気がします」
日常の小さな癖が、体の歪みにつながっていたことを初めて実感した。
カイロプラクティックの施術 ― “整える”という感覚
施術マットにうつ伏せになると、まずは全身の筋肉を軽くほぐす。
肩、背中、腰。呼吸と合わせて、ゆっくり圧をかける。
「少し右に傾いていますね。無意識に右側で体を支えている感じです」
そう言われながら、セラピストが骨盤を支えるように軽く押した。
バキッという音はせず、ただ、体の芯がスッと伸びていく感覚。
「えっ、今、何か動きました?」
「はい、骨盤の位置を少し整えました。これで足の長さが左右そろいましたよ」
鏡を見せてもらうと、本当に左右の足がまっすぐに揃っていた。
「これ、家でできる姿勢のチェック方法もありますよ」と教えてもらい、
壁に背をつけて立つ練習をその場でやってみた。
「壁に頭と肩、かかとをつけて立つだけで、姿勢の意識が変わりますよ」
たったそれだけなのに、背筋が伸びるだけで気分までしゃんとする。
呼吸が深くなる ― 体の変化に気づく瞬間
次に仰向けになり、首と胸のあたりを軽くストレッチ。
セラピストの手が動くたび、空気が流れるように呼吸が深くなっていく。
「深呼吸してみましょう。吸って、吐いて…」
そのリズムに合わせるだけで、体の奥が温まるようだった。
途中で「姿勢が良くなると呼吸が入りやすくなるんですよ」と言われ、
たしかに、胸の奥まで空気が届く感覚があった。
肩の力が抜け、目を閉じると全身がふわっと軽くなる。
気づけば、眠っていた。
「お疲れさまでした」と声をかけられて目を開けると、
まるで別人のように体が軽い。
首を回しても痛くないし、肩をすくめても違和感がない。
「全体のバランスが整ったので、今日から姿勢がかなり変わると思いますよ」
鏡を見ると、自然と背中がまっすぐに伸びていた。
施術後のケアと心の変化
施術後は、前回と同じように温かいハーブティーをいただいた。
「今回は体の軸を整えたので、水分を多めに取ってくださいね」
そして、スマホ首対策のアドバイスも受けた。
「スマホを見るときは、なるべく目線の高さに上げてください。
あと、寝る前の15分だけでいいので、首のストレッチを」
その言葉を聞きながら、彩香は少し笑った。
「気づかないうちに、悪い癖がついてたんですね」
「そうなんです。でも、気づけた時点で半分は改善できています」
その優しい言葉に、肩の力が抜けた。
帰り際、セラピストが「無理をせず、3週間後くらいにまた様子を見ましょう」と提案。
勧誘でもなく、あくまで“体に合わせた提案”。
信頼できる関係って、こういう距離感なんだなと思った。
帰宅後に感じた“整う”ということ
その夜、部屋でストレッチをしてみた。
以前よりも呼吸が深く、腕の動きがスムーズ。
背中のハリもなく、腰も軽い。
体だけでなく、心まで整ったような気がした。
次の日、通学の電車で座っていると、背筋が自然と伸びている。
スマホを見ても首が痛くならない。
鏡に映る自分の姿勢が、少し誇らしく感じた。
体のバランスが整うと、心の余裕も生まれる。
テスト期間中のあの焦りや疲れも、今はもう感じない。
「姿勢って、気持ちまで変えるんだな」
そう思いながら、彩香は窓の外の光を見上げた。
まとめ
- カイロプラクティックは“バキバキ”ではなく、やさしく整える施術
- 姿勢のクセを知ることで、日常の疲れを根本から改善できる
- 体の軸が整うと、呼吸や気持ちまで安定する
- 信頼できるセラピストとの関係が、継続ケアの第一歩になる
「またお願いしよう」そう思えるのは、施術の気持ちよさだけじゃない。
安心して任せられる“人”がいるということ。
そして、自分の体と向き合う時間を持てるということ。
出張整体は、忙しい学生にとって“自分を取り戻す小さな贅沢”なのかもしれない。
