大学2年生の春。講義とアルバイト、そして週3日のテニスサークル。
気づけば肩も腰もパンパンで、毎朝起きるたびに「また今日もだるいなぁ」とつぶやいていた。
友達に「整体とか行ってみたら?」と言われても、忙しい学生生活の中ではなかなか時間が取れない。
それに、整体って“痛そう”というイメージもあって、少し怖かった。
そんなある日、講義の合間にスマホで何気なく「整体 学生 疲れ」と検索してみた。
トップに出てきたのは「出張整体」という見慣れない言葉。
「家まで来てくれる整体?そんなのあるんだ…」
サイトを開くと、女性専用・学生歓迎と書かれていて、少しだけ安心した。
口コミを読むと、「勉強の合間に受けられて便利」「思っていたより優しい施術」といった言葉が並んでいた。
その夜、思い切って予約フォームを開いた。
名前と住所、希望日時を入力し、悩みの欄には「肩と腰のこり、疲れやすい」と書いた。
“送信”ボタンを押すと、ほんの数分後に返信が届いた。
「初めまして。〇〇整体の○○です。学生さんのご利用も多いので安心してくださいね😊」
その丁寧な言葉に、少し緊張がほぐれた。
初めての予約当日
約束の日。授業を終えて帰宅し、部屋を片づけていると、
ピンポーン、とチャイムが鳴った。
ドアを開けると、淡いベージュの制服に身を包んだセラピストが立っていた。
柔らかな笑顔と落ち着いた声で「本日はよろしくお願いします」と挨拶してくれた。
初対面の緊張はすぐにやわらぎ、自然と「こちらこそお願いします」と返していた。
施術用のマットを敷く間、軽くカウンセリング。
生活リズムや部活内容、睡眠の質まで丁寧にヒアリングされる。
「テニスだと、右肩と腰に負担が出やすいですね」と言われて驚いた。
まさにその通りで、毎回ラケットを振るたびに右肩が重く感じていたのだ。
初回施術 ― 体がゆるむ“静かな時間” ―
タオル越しに背中に手が触れる。
最初は少し緊張していたけれど、ゆっくりと呼吸に合わせた圧に
「あ、気持ちいいかも」と思わず声が漏れた。
強すぎず、優しすぎず、ちょうどいい。
何度か深呼吸をするうちに、頭の中が空っぽになっていった。
「右の肩、少しハリがありますね」
「そうなんです、いつも重くて…」
「少しずつ緩めていきましょうね」
会話のトーンも穏やかで、BGMのヒーリングミュージックと重なって
心までほぐれていくようだった。
途中から眠ってしまったようで、気づいたら「お疲れさまでした」の声。
体がふわっと軽くなっているのを感じた。
施術後のアドバイス
施術後、温かいハーブティーを出してもらった。
「水分をしっかり取ることで、筋肉の老廃物が流れやすくなりますよ」
そう言われながら、日常でできるストレッチも教えてくれた。
腕を回す簡単な動きと、寝る前の深呼吸。
「無理せずできる範囲で続けてみてくださいね」
その言葉に、頑張りすぎなくてもいいんだと安心した。
最後に「次はいつでも大丈夫です。
体の様子を見て、また疲れが出たら呼んでください」と微笑まれた。
無理な勧誘もなく、心地よい距離感。
“整体=怖い”という印象はすっかりなくなっていた。
夜、感じたこと
夜、自分のベッドに横たわると、いつもより呼吸が深くできる気がした。
肩の重さも、腰のだるさも消えて、体が温かい。
「整体って、こんなに楽になるんだ…」
そのままゆっくり眠りについた。
翌朝、鏡を見ると顔色が明るい。
通学の電車の中でも背筋が自然と伸びていた。
サークルの友達に「なんか今日元気そうじゃない?」と言われて
ちょっと照れながら「昨日、整体受けたんだ」と笑った。
次に向けて ― “またお願いしたい”と思えた理由 ―
あの日の施術は、単に身体をほぐすだけではなかった。
“頑張りすぎていた自分を、ちゃんと休ませる時間”だったのかもしれない。
初めての体験が安心できるものだったからこそ、
「次もお願いしたい」という気持ちが自然に生まれた。
整体って、もっと年上の人が行くものだと思っていた。
でも、授業や部活で忙しい学生こそ、体のケアが必要なんだと感じた。
特にテスト期間や大会前など、知らず知らずのうちに体が悲鳴を上げている。
彩香は、スマホのメモに“次回予約候補日”を書き込んだ。
「次は、もう少し体を整えてもらいたいな」
それは、前向きに頑張るための自分へのご褒美でもあった。
まとめ
- 出張整体は「自宅で受けられる安心感」が大きい
- 初回は緊張しても、丁寧なカウンセリングと施術でリラックスできる
- 部活や勉強で疲れた学生にとって、定期的なケアは心身のリセットになる
- “頑張るために整える”という考え方が、次の一歩につながる
次の授業中、ふと窓の外を見ながら思った。
「ちゃんと休む時間を作るのも、自分を大切にすることなんだな」
無理して頑張るより、整えてからまた前に進む方が、ずっと心地いい。
そう感じた瞬間、自然と背筋が伸びた。
