第4話:4回目の出張整体 〜 肩こり改善とストレッチ習慣で変わる毎日 〜

3回目の施術から2週間ほどが経った頃。
大学の授業が本格的に始まり、ノートパソコンに向かう時間が増えた。
気づけば、肩がまた重くなっている。
「最近、肩が上がりづらいな…」
そんな小さな違和感を放っておけなくなっていた。

以前なら我慢していたが、今は“体のサイン”に気づけるようになっていた。
スマホを開き、いつものセラピストにメッセージを送る。
「またお願いできますか? 最近、肩が重くて…」
すぐに返信が返ってきた。

「もちろんです。今回は肩周りの筋肉を中心に整えていきましょう。
ストレッチも少し取り入れて、セルフケアの方法もお伝えしますね。」

その丁寧な返信を読んで、自然と笑顔になった。
「次はどんな施術になるんだろう」
リラックスと期待が入り混じる、不思議な感覚だった。

久しぶりの夜施術 ― 穏やかな始まり

施術当日。
夜の静けさの中、照明を少し落としてリラックスモードに整える。
チャイムが鳴り、セラピストがいつものように落ち着いた声で挨拶をした。
「お久しぶりですね。肩の調子はいかがですか?」
「やっぱり凝ってる気がして…。特に右肩が重いです」
「では今日は、肩甲骨と背中を中心に緩めていきましょうね」

マットにうつ伏せになると、背中にタオルがかけられる。
最初に肩周りを軽く押されると、筋肉が固まっているのが自分でもわかるほどだった。
「かなり張ってますね。でも大丈夫、ゆっくり緩めていきますから」
優しい声に、安心感が広がった。

肩甲骨まわりが“開く”瞬間

オイルを使いながら、肩甲骨の内側を丁寧にほぐしていく。
最初は少し痛みを感じたが、次第に体が温まってくる。
「息をゆっくり吸って、吐いて…はい、いい感じです」
呼吸とともに圧が深く入るたび、筋肉が少しずつゆるむ。
肩甲骨が背中から離れるような、軽やかな感覚。

「デスクワークやスマホ操作で、肩甲骨が固まる人が多いんです」
「わかります…パソコンもスマホも、ずっと前かがみで」
「それを続けていると、呼吸が浅くなって疲れやすくなるんですよ」

その言葉にハッとした。
肩の疲れだけでなく、呼吸まで浅くなっていたなんて。
整体を通して、体のつながりを意識するようになってから、
日常の姿勢にも敏感になってきた。

ストレッチで感じる“自分の体の軽さ”

肩と背中の施術が終わると、軽いストレッチが始まった。
「右腕を前に伸ばして、左手で支えてみましょう」
「はい、そのままゆっくり呼吸して…」
普段使っていない筋肉が、ゆっくりと伸びていく。
「ストレッチのコツは、“痛気持ちいい”ところで止めることです」
「我慢するほど伸ばす必要はありませんよ」

やさしい言葉に導かれるように、自然と呼吸が深くなる。
無理をしないペースで体を動かすと、血流が良くなり、体がポカポカしてきた。
「自分の体に意識を向けるだけで、こんなに変わるんだ」
そう思うと、心まで軽くなった。

施術後のアドバイス ― “続けることで整う”

施術後、鏡を見ると肩の高さがそろっている。
「今はすごくいい状態ですね。姿勢も整ってきています」
「ストレッチを続けると、この状態が長持ちしますよ」
そう言って、簡単な肩回しのストレッチを教えてもらった。

  • 朝起きたら、肩をゆっくり10回まわす
  • 夜寝る前に、背中の後ろで手を組んで胸を開く
  • スマホを見る時間を30分ごとに区切る

どれも無理なくできる習慣。
「難しいことは続かないですからね」と笑うセラピストの言葉に、
また心がほぐれた。

変化に気づく ― 体が変わると心も変わる

その夜、ベッドに横たわった瞬間、肩がベッドに吸い付くように沈んだ。
呼吸が深く、体全体が温かい。
「なんだか、体がまっすぐになったみたい」
不思議と、気持ちまで整理されていくようだった。

翌朝、鏡を見ると姿勢が違う。
いつもより肩が後ろに引かれ、胸が自然と開いている。
駅までの道のりも、背筋が伸びて軽やかに歩けた。
「整体に通うようになってから、毎日が少しずつ変わってるな」
そう実感する瞬間だった。

まとめ

  • 肩こりは、姿勢や呼吸と深く関係している
  • ストレッチを習慣にすることで、施術効果が持続する
  • “整う”感覚は、体だけでなく心にも影響を与える
  • 小さなケアの積み重ねが、疲れにくい体づくりにつながる

4回目の施術を終えて、彩香の中にあったのは「感謝」と「前向きな意欲」だった。
肩こりを治すために始めた整体が、今では心のリセット時間になっている。
勉強もアルバイトも忙しい毎日の中で、
こうして自分を整える時間を持つことが、どれだけ大切かを感じていた。
「次はどんな自分に出会えるんだろう」
そんな気持ちで、また新しい一日を迎える準備をしていた。

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