2回目の施術からおよそ1か月。
季節は初夏に差し掛かり、湿気と気温の高さで体が重く感じる日が増えた。
大学の授業も再開し、通学やアルバイトで立ちっぱなしの日々。
夜は眠っても疲れが抜けず、朝は足のむくみが気になる。
そんなとき、スマホの通知に前回のセラピストさんからメッセージが届いた。
「お身体の調子はいかがですか? 最近は気温の変化で足のだるさを感じる方が多いです。
ご希望であれば、リフレクソロジーを取り入れた施術をしてみましょうか?」
その言葉を見て、「まさにそれだ…」と心の中でつぶやいた。
出張整体に慣れてきた今、少し違うケアを試してみたくなっていた。
迷わず「お願いします!」と返信を送った。
初めてのリフレクソロジー ― 足から整えるという発想
約束の日の夕方。
ベッドサイドにタオルを敷き、部屋の明かりを少し落として準備を整える。
チャイムが鳴き、玄関を開けると、セラピストさんがいつも通り落ち着いた笑顔で立っていた。
「こんばんは。今日は少し足のケアを中心にやっていきましょうね」
その声に、仕事や勉強の疲れが一瞬で和らぐ気がした。
軽くカウンセリングをして、足の状態をチェック。
「全体的に少しむくみが出ていますね。特にふくらはぎの張りが強いです」
「たしかに、最近ずっと立ちっぱなしで…夜になると靴下の跡が残るんです」
「それなら、今日はアロマオイルを使って流していきましょう」
柑橘系のオイルの香りが部屋に広がる。
足裏に手が触れた瞬間、じんわりと温かさが伝わってきた。
指の腹でゆっくりと押されるたびに、足の裏が柔らかくなっていく。
「足には全身の反射区があるので、刺激することで内臓や自律神経も整うんですよ」
そんな説明を聞きながら、心地よさにうとうとし始めた。
足のむくみが“流れていく”感覚
ふくらはぎ、くるぶし、膝の裏。
下から上へ、血流を促すようにオイルが滑っていく。
「ここが少し張ってますね。冷えや疲れが溜まるポイントです」
やさしい圧が加わるたびに、重たかった足が軽くなる。
「だるい」「重い」といった感覚が、ゆっくりと溶けていくようだった。
「最近、眠りはどうですか?」と聞かれて、ハッとした。
「うーん、寝つきが悪くて…」
「足が冷えていたり、ふくらはぎが固いと、睡眠の質にも影響するんですよ」
なるほど、体の疲れだけでなく、眠りまで関係しているなんて考えたこともなかった。
最後に温かいタオルで足を包まれた瞬間、思わず「はぁ〜…」と息が漏れた。
全身がポカポカして、まるで温泉に浸かったような心地よさ。
そのまま目を閉じていたら、きっと眠ってしまっていたと思う。
施術後 ― “軽い足”と“深い眠り”
施術後、セラピストさんが優しく声をかけてくれた。
「むくみがかなり取れましたね。足首がスッキリしてます」
鏡を見ると、確かにラインが細くなっている。
「足が軽いと、全身の代謝も上がるんですよ」
「へぇ…たった1回でこんなに違うんですね」
温かいハーブティーを飲みながら、日常でできるケアも教えてもらった。
・寝る前に、足首を10回まわす
・シャワーの後に、ふくらはぎを下から上へ軽くさする
・冷たい飲み物を控えて、常温の水を意識して飲む
どれも無理なくできそうなことばかりだった。
「次回は、足のむくみが落ち着いた頃に、睡眠のリズムを整えるコースもおすすめです」
そう言われて、また楽しみが増えた。
その夜 ― 深く眠れた“静かな時間”
ベッドに入ってからも、足がポカポカしている。
いつもはスマホを触ってから眠るのに、その日は自然と目を閉じた。
気づけば、朝まで一度も目を覚まさなかった。
久しぶりに「ぐっすり眠れた」と感じた朝。
足のむくみもなく、鏡に映る自分の顔色も明るい。
「足って、こんなに大事なんだ」
そう思いながら、通学路を歩く。
階段を上がっても、足取りが軽い。
朝の空気まで、どこか澄んで感じられた。
体だけでなく“生活のリズム”も整う
リフレクソロジーを受けたあの日から、彩香の中でひとつの変化があった。
夜更かしをやめて、寝る前のスマホを控えるようになったのだ。
そして、足のストレッチを習慣にした。
それだけで、翌朝の目覚めがまるで違う。
「自分の体を大切に扱う時間って、思った以上に心の余裕をくれるんだな」
そう感じるようになってから、忙しい日々の中でも焦らなくなった。
授業の合間やバイト帰り、ちょっとした時間に深呼吸をする。
それが、以前よりもずっと自然にできるようになっていた。
まとめ
- リフレクソロジーは、足から全身を整える効果がある
- むくみ・冷え・睡眠の質の改善に効果的
- アロマオイルを使うことで、リラックス効果が高まる
- 継続的なケアで、体と心のリズムが整う
出張整体を受けるたびに感じるのは、体の変化だけじゃない。
自分と向き合う“静かな時間”の大切さ。
日々の疲れをリセットしながら、また前を向いて歩ける。
彩香にとって、このリフレクソロジーは「癒し」以上のものになっていた。
